彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「まだ見つかってないのか?」

「はい。行方不明のままです。」

「お前・・・それで今夜も探していたのか?」

「そうですが?」



丸山さんの問いにうなずけば、呆れたように彼は言う。



「それでお前が、さらわれかけたら意味がないだろう?」

「い、いえ、丸山さん!あのお姉さんは誘拐犯ではなー」

「ないとは言いきれないだろう!?気をつけろ!」

「す、すみません・・・」



ますます、本当のことを言いだせなくなる。

というか、女装して捜査してる男子って・・・偏見を持たれそうなので、瑞希お兄ちゃんの名誉のために言うのをやめた。



(あくまで凛道蓮は、真田瑞希お兄ちゃんが鈴音ミクさんだということを知らないわけだしね。)



真田瑞希=鈴音ミクの件は内緒にする心に決め、迷子の少女のことを聞いた。



「ということで、誰かこの子を見た人はいらっしゃいませんか?名前は春野なずなちゃん、14歳の中学2年で、2週間前から家出中なんです。」

「見てないなー」

「そんなに若い子を見ることがないからな。」

「あんまり見ると、にらまれて怖いからよ~」

「けど、ガキのたまりを縄張りにしてる奴らなら知ってるんじゃないか?」

「つーても、俺達の中には、知ってる奴はいないな。」

「そうですか・・・」



聞いてみるが手掛かりになる情報はなかった。



「・・・・その家出した子の写真、印刷できないか?」

「え?」



がっかりする私に、真面目な声で丸山さんが言った。



「印刷してくれたら・・・・チラシとかにしてくれたら、配ったりできる。知ってる奴がいないか聞いて回ることもできる・・・」

「あ!?なるほど!その手がありましたね!?」



そう言ったと同時に気づく。



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