彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
笑いをかみ殺し、タバコに火をつけながら烈司が言う。
「凛たんから連絡が来たなら、心配しなくてもいいじゃねぇか、瑞希?俺の勘的にも、安全だと思うぜ~?」
「それはそうだけど!」
「やっかいよねぇ~みーちゃんの変装だって、凛ちゃんが気づいてない以上、詳しく聞きだせないもんねぇ~?」
「そこなんだよ!凛の奴・・・マジでなにもされてねぇだろうなぁ~!?」
「烈司の勘は当たる。凛道の安全が確認できたのなら、あまり過保護になるな、馬鹿者。」
「どうせ俺は、兄馬鹿だ!」
「わはははは!自覚あるのか、ブラコン野郎~!?」
凛が無事ならいい。
俺が汚い水をかぶって汚れるのはかまわない。
風呂で流して、ついでに化粧も落して、着替えればいいんだ。
でも、凛はダメだ。
もしも、洗っても落とせないような汚れが凛についたら。
無垢(むく)な凛が、傷物にされるようなことがあれば―――――――――
(俺がそいつをぶっ殺す・・・・!!)
〔★瑞希は静かに決意した★〕
「あーん、せっかくのカツラ、ダメになっちゃったぁ~」
「わははは!また作ればいいだろう!」
「こうなったら、買うしかないわよ!もぅ~このタイプは高いのに~」
濡れた髪の束を見ながら、モニカがしかめっ面をする。
(水を目つぶしに使うのは良い考えだが・・・かけられるような真似、俺はしてないぞ!?)
その時のことを思い出してムカムカしていたら、気を利かせた烈司が冷蔵庫から冷たいコーラを持ってきた。
「まぁ、落ち着けよ。」
「落ち着いてる!」
ご丁寧に、口まで開けてくれた炭酸を口に流す。
半分まで飲んだところで、一番付き合いの長いマブダチに聞いた。
「どうなんだ、烈司?」
「結構、まん延してるわ。」
隣に腰かけながら相棒は言った。