彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「夏休みだから、余計にドラッグの広がりが早いぞ。風俗店も何件か、MESSIAHからの売り込みがあったらしい。」
「売り込ませるなよ。」
「きつく言っておいた。」
「じゃあいい。そっちはどうだ、伊織。」
「大体はしぼれた。」
タプレットを差し出しながら言う元副総長。
表示されていたのは町の地図。
何か所か、赤く点滅していた。
「赤いところが、MESSIAHのガキ共が悪い金を稼いでる場所だ。」
「ずいぶんあるな、売春場所?」
「これとは別に、車でも移動してるそうだ。」
「行商かよ!?ガキのくせに・・・」
「データを分析した結果、次に行われるのはこの店だろう。」
「間違いないか、烈司。」
「どんぴしゃで。」
「わははは!人間殴れるチャンスキタ―――――――!!」
「あら、急がなくっちゃ!カツラは急いで注文するとして~凛ちゃん、大丈夫かしら・・・パトロールのお手伝いで、家出少女の捜索してるならいいけど・・・凛ちゃん1人だと心配だわぁ~ねえ、れーちゃん?」
「凛たん1人なら、そんな気がする。」
「おいおい、マジかよ!?参ったな・・・」
「なぜ凛道に言わない、瑞希?」
「あん?」
タプレットから視線をはずした伊織が、とうとつに俺に聞いてきた。
「MESSIAHが薬を仕入れている相手が、九条アキナかもしれないということをなぜ凛道に言わない?」
「だから言わねぇんだよ。」
(アキナは、俺の弱点が凛だと知った。凛はアキナが俺を困らせる存在だと思っているところがある。そんな2人をMESSIAHの件でつないでしまったら、どちらも無傷では済まない。)
それがあるから、凛がMESSIAHと関わるのを禁止したんんだが・・・!
(なんとなーく、首を突っ込んでいるような気がしてならないんだよな・・・)
〔★その勘は正しい★〕