彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「アキナが絡んでるって凛が知れば、暴走するかもしれないだろう?」
「それは伝え方次第だ。『九條アキナが関わっているから手を出すな。』と言うのではなく、『凛道蓮が九條アキナ絡みで動けば、真田瑞希が危ない。』と伝えればいいだけだ。凛道はまだ、その辺りの認識が出来ていないところがある。」
(そういうオメーだって、凛を気に入ってる認識を持てよ!)
言えばややこしくなるので、口には出さなかった。
それでも、凛の話題はさけたかったので伊織に言った。
「伊織、俺の参謀なら、俺が凛に言わねぇ意味ぐらいわかってるはずだろう?MESSIAHの件で、凛とコミニケーションをとれなくなったのは謝るが、凛との親睦は別の機会にしてくれ。」
素直じゃない伊織に対して、フォローで言ったつもりだったが・・・
「・・・誰が凛道と戯れたいと言った・・・!?」
伊織のみけんにしわが寄る。
機嫌が悪くなった証であり、ヤバい流れになっている時のサインだった。
「俺が言っているのは、対人スキルの話ではなく、感情論と合理性についてだ。」
マズいと思った時は遅かった。
「いいか、瑞希。90%の確率で、MESSIAHの黒木と九條アキナは、違法ドラッグの取引を行っている。」
「・・・100%じゃないんだろう?」
「あと数日で100%の証拠がそろう。アキナは裏で糸を引く姿勢を変えない。簡単に表舞台には出てこんだろう。」
「それを引きずりだすのが、伊織の得意分野じゃなかったのか?」
「ならば言わせてもらおうか、初代総長殿。女は感情で動く生き物だ。アキナはまさしくそのタイプだ。つまり、凛道というエサをチラつかせれば、アキナは誘いにのってくる。」
「エサ・・・?」
伊織の言葉に、一瞬意識が飛ぶ。
こいつ今、なんて言った?
(凛をエサにして、アキナを――――――――・・・・!?)
「心配せんでも、最も効率の良い策を考えてやる。無傷で済むかは、凛道次第だがな。」
「――――――――ふざけんなっ!!」
意味を理解した瞬間、カッと頭に血がのぼる。
「てめぇ!!アキナ対策に、凛を利用する気か!!?」
「使える者を使って何が悪い?」
「なんだとっ!?」
気づけば体が動いていた。
「よせ、瑞希!」
「離せ、烈司!こいつ凛のことを――――――!」
元副総長につかみかかろうとすれば、元親衛隊長が力づくで止めに入る。
その動きと連動して、元遊撃隊長が伊織をかばうように立ちながら、問題発言をしたメガネに問いかける。