彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「ただでさえ、良くも悪くも女に手を出せない凛を、傷が癒えてるかもわからねぇ凛に、アキナがらみのトラブルを任せられない。本来ならば、龍星軍の新入りで半グレナンバーワンだった幡随院を使って、現役の凛にMESSIAHの処理をしきらせるのが筋だが・・・初代命令で禁止したのもそのためだ。今はまだ・・・凛とアキナの接触は極力さけたい・・・!」
(俺がするべきことは凛を守ること。)
同時に、凛と安全に付き合い続けることを望んでいる。
その望みをかなえるためにも、アキナから受けた宣戦布告に付き合うしかない。
もし叶うならば――――――――――
「いずれは―――――――――凛のためにも、アキナとは『共存』していきたい。」
「瑞希・・・。」
「みーちゃん!?」
「・・・。」
「瑞希、それがお前の望みか?」
確かめるように、伊織が聞いてきたので正直に答えた。
「そうだ。」
「『九條アキナと共存する夢』を見るのは勝手だが、これだけは覚えておけ。龍星軍の関係者に手を出せば、遠慮なく俺が消す。」
「伊織・・・」
「が!・・・・・瑞希の夢物語に付き合うゆとりはある。」
「伊織!?」
「それだけじゃねぇだろう、伊織。どうせ瑞希のことだから、『恨まれるのは俺だけで良い』とか思ってるぞ?」
「烈司・・・」
そう言うと、俺の体を抑えていた烈司の手が離れた。
「なんでも、テメー1人で背負いすぎだぜ、瑞希?」
「烈司。」
「わはははは!烈司の言う通りだぜ!つーか、恨まれてんのは『俺』じゃなくて、『俺様達』の間違いだろう~!?」
「皇助。」
ソファーに寝転がりながら笑うツレ。
「凛助の奴、けっこうアキナの地雷踏みまくって怒らせてたからなぁ~!良い勝負じゃねぇか~!?わははははは!」
「ちょっと、皇ちゃん!言い方が~」
「いいじゃねぇか、瑞希~伊織の考え!けどよ~伊織、今回は瑞希がしたいようにさせてやろうぜ~!?俺様達は、まだ2代目達のことで、凛助に話してねぇーことが多すぎる!順番に行かねぇとなー!?」
「っ!?」
元特攻隊長の言葉が胸に刺さる。
皇助の言う通り、俺は凛に伝えていないことがありすぎる。