彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「あせらないで、みーちゃん。」



固まる俺の肩を、優しく抱きながら語り掛けるのは初代龍星軍の『女性』メンバー。



「デリケートな話だから、凛ちゃんには少しずつ、話していきましょう?凛ちゃんなら、きっとわかってくれるわ。あんな目に合わせたアキちゃんのことを、他の2代目メンバー達のことを聞いてこないのも、待っててくれてるからよ。」

「モニカ・・・」

「みーちゃんの口から、何があったかを話してくれるのを待ってるんだと思う。だから、みーちゃん・・・今はMESSIAHをしめることに集中しましょう?」

「わはははは!そうだな!まずは、MESSIAHのガキ達を片付けるのが先だぜ!!」

「・・・モニカと皇助の言う通りだぜ、瑞希?伊織も・・・それでいいな?」

「・・・ああ。」

「異存はない。さっさと始末をつけるぞ。」

「じゃあ、新しいカツラが届いたら決行しましょうか?」

「明後日までには間に合うか、モニカ?その日がベストなんだが?」

「間に合うわ、イオリン!販売元まで行けば大丈夫よ!」

「わははは!!」

「決まりだな。いいよな、瑞希?」

「ああ・・・・・当日はよろしくな、オメーら。」

「「「「おう。」」」」



俺の言葉に、声をそろえて同意してくれる仲間達。

それで各自が、それぞれのするべきことを始める。



「瑞希。」




烈司が俺を呼ぶ。

何か言いかけたけど、無視して自分の部屋に向かった。

今烈司と話したら、弱音を吐きそうな気がしたので声を出さなかった。

早く1人になりたくて足早に、住居スペースの階段をのぼる。

自室の戸を開けて鍵をかける。

明かりをつけて、真っ先に本棚へと向かう。

その奥に、隠すようにして押し込んでいたアルバムを取り出して広げる。



「・・・・・・・・・陽翔・・・・・・・・」



俺の隣で、アキナと並んで写る後輩。

陽翔を思い出す時、自分がゴミ以下だと思い知らされる。

何もする気が起きず、しばらく写真の中の笑顔をながめていた。



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