彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「やっと食べれる!」

「お腹すいた~!」

「あたしのお菓子!」

「これは私のよ!」

「お茶・・・水でいいから・・・!」

「なにか飲ませてくれ!」

「やっと食べれる!飲める!」




目に映ったのは、部屋に用意されていた食べ物に飛びつく女の子達の姿。

それですべてを理解する。



(満足に食事も与えられてないの・・・・?)



そうとしか思えない光景。

ふいに、隣で生唾を飲む音がした。



「なずなちゃん?」

「ご、ごめん、私も・・・」

「どうぞ・・・」



手を離せば、お菓子に群がる女子の中に入って行った。



「あんたは行かないの?」



クスクス笑いながら、ちあきが声をかけてきた。



「君だって、行ってないじゃないですか?」

「あたしはあいつらと別格なのよ。お腹は満たされてるもん。」

「彼女達を見て・・・何も思わないの?」

「家出する奴が悪いんじゃん?居場所なくて可愛そうかもしれないけど。」



なずなちゃんと違って、後悔はしてないらしい。



「薬だって、慣れれば面白いのに。」

「君、薬をしてるのか!?」

「蓮もする?セックスする時、めっちゃ気持ちよくなれるよー?」



そう語る顔にゾッとする。

思わず、身を引けば、ゲラゲラと彼女は笑う。



「ばーか、童貞が!本気にすんなよ!」



そう言うと、漫画が並んでいる本棚の方に行ってしまった。



(からかわれたの・・・?)



そう思ったけど不安になる。



(女の子が逃げないように、薬漬けにするって聞いたけど・・・)



足早にお菓子を食べている子達に近づく。



「あ・・・蓮君も食べる?」



なずなちゃんが、チョコレートを差し出してきた。



「今はいいです。」



その手を取って、なずなちゃんを女子の群れから離す。

食べ物を持った状態の彼女と、部屋の隅まで移動する。

こちらをニヤニヤしながら見るちあきを、警戒しつつも聞いた。



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