彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
(しかたない・・・胸と股間にだけ気をつけながら、任せよう・・・)
強く拒めば断れたかもしれないけど、長時間の拘束で反撃する気もなくなっていた。
注意しつつ、なすがままになる。
そんな私に、喜々としながらモニカちゃんは言う。
「あん!凛ちゃん、腰細い!ちゃんと食べてるぅ~?」
「だ、大丈夫、食べてますよ・・・」
「ホントー?モニカちゃん的には、もっと太らせたいわぁ~お腹のこの辺とかぁ~♪」
「ひゃ!?ちょ、モニカちゃん!?」
「やめろ、モニカ!ベタベタするな。」
「いいでしょ!着付けのできない、れーちゃんは、机の上の小物をとってよ~」
「へいへい!その代わり、凛たんへのセクハラを軽減しろよ!」
「はいはい!出来ない人は、出来ない人なりに、協力してねー?」
「では、浴衣も着物も着付けが出来る俺の配置はどうする?」
「あん!さすがイオリン、出来る男~!じゃあ、クローゼット前に積んでる三番目の箱、そこに下駄入ってるから出して!凛ちゃんのために~」
「ふん!しかたない。」
「わははは!そんじゃあ俺様は~」
「「「なにもするな。」」」
「な!?」
「全員一致で同じ指示ですか!?」
「どういう意味だテメーら!」
私の疑問と百鬼の問いに、モニカちゃんがムスッとした顔で答える。
「皇助にさせると浴衣も帯も巾着もズタボロになるでしょう!?だから全員一致なのよぉ~ん、凛ちゃん♪」
「そうなんですか!?」
「俺が知ってるだけで、浴衣を15着ダメにしてる。」
「俺は21着だ。」
「端切れになったけど、再利用したわ!この小物も、その一つよん♪」
「これはリサイクル品でしたか!?」
(どれだけダメにしたのよ!?)
思わず肩をすくめれば、モニカちゃんが私の襟首を正しながら言う。
「ダメよ、凛ちゃん!じっとしててね!」
「あ・・・はい・・・」
「あとね、シルキロールはこっちの和風の柄と交換して!付け替えなさい。」
「は、はい。」
「髪もいじりたいから~ちょっと座ってくれる?」
「わかりました。」
そこからが早かった。
テキパキとモニカちゃんが私の浴衣を整えていった。
「出来たぁ~!どう!?」
「わあ・・・すごい・・・」
得意げに言うモニカちゃんに、鏡の前に押し出される。
そこに映っていたのは、ポップで可愛いけど男の子だとわかる和装の自分だった。