彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「凛は、年上が好きなんだってな?」
〈僕が好きなのは瑞希お兄ちゃんです!!〉
ホント、こいつは・・・
(硬派というか・・・まだまだ初心なんだろうな。)
「俺はてっきり、そのお姉さんを口説いたんじゃないかと思ってたんだけどな~?」
〈変なこと言わないでくださいよ!どうしてそんなに意地悪なんですか!?〉
「ちょっと妬いただけだよ、ばーか。」
〈え!?や、やい・・・!?〉
「全部冗談だよ。凛を信じてるさからさ。ごめんな?」
〈い、いえ・・・わかって頂ければ十分です・・・。〉
「わかってるよ、凛。」
〈ならいいです。そもそも、助けてもらった音のある方に不埒な真似はしません!ホテル代と衣装代の負担までさせてしまったんですから・・・〉
「そこは気にしなくていいんじゃねぇか?」
〈そうはいきません!恩は返さないと!今度は僕がミクさんを助けます!〉
助けるって・・・
「へえー・・・そりゃあ、うまくいくように祈ってるぜ?」
〈はいっ!〉
女装なんて二度とする気はなかったけど、凛がどう助けてくれるのか。
その姿を見れるなら、悪趣味な格好をしてもいいかもしれない。
「じゃあ、今日はゆっくり休めよ。」
〈ありがとうございます。瑞希お兄ちゃんも・・・みなさんにも、よろしくお伝えください。〉
「わかってる。またな。」
〈はい!バイバイ、瑞希お兄ちゃん!〉
そこで電話を終える。
「意地悪だな、瑞希?」
俺の肩に手を回しながら烈司が笑う。
「凛たんに、種明かしはしないのか?」
「硬派のお兄ちゃんのイメージを、壊したくないからな。」
「とかなんとか言って~お姉さんの立場でも、凛ちゃんを見守るつもりでしょー?」
バシッとケツを叩きながら言うモニカ。
「悪趣味め。どうせ、凛道がどうやって鈴音ミクを助けるか知りたくなったんだろう?」
烈司とは反対の肩を叩きながら言う伊織。
「わはははは!スパイをするなら、報告しろよー!?」
そんな俺達を4人まとめて、背後から抱きしめんながら言う皇助。
「よく言うぜ!オメーらの方が、よっぽど凛に甘いだろうが?」
「よくおわかりじゃん?」
「当然よね~」
「ふん。」
「わははははは!」
否定しない仲間に楽しくなる。誰ともなく声を出して笑う。
凛もダチと、こういう付き合いができていればいいと切実に願った。