彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
夏の夜は、深夜にもかかわらず、人通りは多い。
街中の交差点は夏休みということもあり、若者が多い。
そのためいつもなら、深夜の客を待つタクシーが多いのだが、今の時期だけ若者が運転する車と単車が多かった。
「この後どうする?」
「やっぱり、オールでしょ?」
キュォオオオオン!
「うはははは!」
バンボー、バンボー!
「ねぇ、酔ったからさ~コンビニで飲み物買おう?」
「そうだな。ついでにアイスも買うか?」
キュォオオオオン!
「うはははは!」
バンボー、バンボー!
「じゃあ、カラオケでも行・・・」
キュォオオオオン!
「うはははは!」
バンボー、バンボー!
「・・・って、なに?この音と声?」
戯れる少年少女の目の前、青の交差点に単車がつっこんできた。
キュォオン!オン!オン!オオン!
「うはははは!」
バンボー、バンボー!!
「ぎゃあー!?」
「あぶねぇ!」
キー!
キキッー!!
それで進もうとしていたトラックや車が急停止する。
キュォオオオオン!
「うはははは!」
バンボー、バンボー!!
道路の左右を封鎖して止まる2台のバイク。
「なにあれ!?暴走族!?」
「どこの族だよ!?」
「片方、めっちゃ笑ってるけど!?」
「え!?うそ、まさか・・・・!?」
彼らの背中に視線が集まる。
「龍星軍!!?」
荒ぶる龍が刺繍された特攻服。
刻まれた文字を見て、誰もが口々に叫ぶ。
「一人じゃなかったのか!?」
「ばっか!噂じゃ、爆裂弾が仲間になってんだろう!?」
「現に、信号止めしてるのって、爆裂弾の吾妻じゃん!?特攻隊なの!?」
「吾妻が隊長!?」
「違う!よく見ろ!あのサングラスしてるのが、特攻隊長じゃねぇの!?」
「13代目特攻隊長ってあるぞ!」
「おいおい、あの吾妻を差し置いて、あいつが特隊!?」
「つーか、誰だよ、あいつ!?」
騒ぐ野次馬に、新たな爆音が近づいてくる。
バウン、バウウン!
ドゥルルルル!!
ギュワアア!!
ゴワァァァァ―ン!!
特攻隊2人の作った道を、彼らが走り抜けた。