彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「あ!?円城寺と長谷部だ!」
「長谷部が、龍星軍の旗を持ってたぞ!?」
「高千穂もいるじゃん!?」
「可児もいた!」
「てか、高千穂と可児の間にいたのって――――――!?」
「凛道蓮さん!!?」
野次馬が凛の存在を確認した時、本人は、はるか彼方へと走り去っていた。
フォアアアア―――――――ン!
「ウェイウェイウェイ!」
オアン、オアアアアン!
「ふふふ~」
その凛達から、少しだけ距離を取って走っていた2台のバイクが続く。
途端に黄色い悲鳴が上がる。
「ヤバ!今の二人、めちゃくちゃイケメンだった!!」
「黒髪の方、ヤバすぎなんですけど!?」
「あたし、もう一人の方がタイプだった~!」
女子の悲鳴を受けてか、2人は蛇行運転に変える。
「ウェイウェイウェイ!龍星軍をよろしく~!」
フォア、フォア、フォアアアアン!
「僕ら遊撃隊をよろしくね~!」
オアン、オアン、オアン!
片手を観衆にあげながらリップサービスをする美形達。
自己紹介を終えると、蛇行しながら総長たちの後を追うように走り去る。
それを見届けてから、道を封鎖していた2台も走り出した。
「うはははは!」
あっという間に見えなくなる龍星軍に、交差点の車も人も呆然とする。
しばらくして、我に返った野次馬達が声を出す。
「これって、もしかして・・・」
「今夜、龍星軍の集会なんじゃない!?」
「龍星軍の集会なの!?」
突然の出来事にもかかわらず、我先にとツイートし、SNSに報告する若者達。
龍星軍集会の情報は、瞬く間に拡散したのだった。