彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「全部写すとバレるから、適当に間違えようぜ。俺ら、あいつと違って頭悪いし~」

「さすがアダムだね、ナイス。」

「やめてください!宿題とお金を返して!」

「え!?聞いたぁ~!?ルノアのデビューのお祝いに、コピー代出してくれるって!」

「ありがと~菅原さん!でもでも、今夜のお祝いのパーティーには呼べないから!クルーザーに乗れるのは人間だけだし!」

「きゃははははは!」

「あっはっはっはっ!」



難波と鳥海の言葉に、クラス中が爆笑する。

その中心にいる渕上は、私を見ることなく丁寧にツメの手入れを続けていた。



「なにを騒いでるんですか?」



そこへ、担任である井谷が教室に入ってきた。



「みんな、席に座りなさい。静かにしなさい。」



たまらず、教師の方へ駆け寄った。



「井谷先生、聞い――――――!」

「井谷先生、聞いてくださいよ~菅原さん、私達に宿題教えてくれたんですよ!」

「な!?」



私の声を遮る大声で難波が言う。



「おかげでみんな、大助かりでーす!お礼言ってたところなんですよぉ~!」

「あら?ケンカをしていたと思ったけど、仲直りしたのね?やればできるじゃない、菅原さん。」

「や、やればって!?」



鳥海の嘘に対し、とげのある言い方で私を褒める教師。



「あなたから、やっと歩み寄ったのね。新学期からは、心を入れ替えて生活しなさい。」

「そんな・・・!」



怒りと戸惑いで立ち尽くす。



「早く席につきなさい、菅原さん!また、輪を乱す気ですか!?」

「・・・っ!」



私一人を名指しして注意する大人。

気づけば、他のクラスメート達は、何事もなかったかのように座っていた。



(このことも、今日の日記に書いて、記録として残してやる・・・!)



菅原凛に出来るささやかな抵抗を考えながら席に座る。

その直後、後ろから髪を引っ張られた。



「いっ!?」

「余計なこと言ったら、お前の宿題をルノアちゃんが焼くってさ~」



抜いた私の髪を見せつけるように、床へと落しながら言う後ろの席の男子。



(最悪だ・・・・)



宿題を人質に取られたばかりか、返ってくるかもあやしい。

担任とクラスメートからの対応を受け、2学期も今までと変わらずひどいんじゃないかと思わずにはいられなかった。






~男(!?)と女(!?)の騙し愛!?龍星軍の集会なるか!?~完~

< 446 / 534 >

この作品をシェア

pagetop