彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



「お前、MESSIAHの売春と違法薬物事件に関わったよな?」

「・・・・なんのことですか?」

(やっぱり、そのことね・・・・。)



理解したと同時に否定する。

知らないと答える。



「とぼけるな!お前が関係してるんだろう!?」



間髪入れずに言ったのは岩倉。

若い刑事は、私の肩をつかむと怒鳴りつけた。



「MESSIAHを縛り上げ、証拠品を送りつけたのはお前だろう、凛道蓮!?」

「あっ!?」



勢い良く私の肩をつかみながら言う。

下手なのかわざとなのか知らないけど、それで掴まれた場所に痛みが走った。



「い、痛いです!やめてください!」

「そう言って逃げる気か!?言い逃れは通じないぞ!?」

「違います!本当に、い、痛いんです・・・!」

「おい、やめろっ!」



それを見て、会長さんが私の肩をつかんでいる岩倉の手をつかむ。



「子供相手に何してんだ、刑事さんよ!手を離してやれ!」

「こっちのセリフです!公務執行妨害ですよ!?」

「そう言えば、子供に暴力振るっていいって言うのか!?」

「この子は非行少年です!見た目は弱そうですが、凶暴なんですよ!?」

「だから乱暴にしていいのか!?今は、なにもしてないだろう!?」

「邪魔するなら、逮捕しますよ!?」

「なんだとぉ!?やってみろテメー!!」

「岩倉、離してやれ。」



岩倉と会長さんがヒートアップした時、そっけない声でおじさんが指示する。



「でもバラさん!」

「いいから離せ!あと、簡単に逮捕って言うんじゃない!」

「・・・はい・・・」



おじさんの言葉で、渋々手を離す岩倉。



「凛!」

「お兄ちゃん!」



解放された瞬間、瑞希お兄ちゃんは私を自分の背後へと隠す。

同時に、会長の奥さんをはじめとした女性達が私の側へと寄ってくる。



「大丈夫かい、チョコちゃん?」

「痛かったね?怖かっただろう?」

「なんて乱暴なのかしら!?」

「怪我はしてない!?」

「だ、大丈夫です・・・」



瑞希お兄ちゃんの背中にくっつきながら言えば、会長の奥さんが背後から抱きしめてきた。

他の人も、私の頭をなでながら気遣ってくる。

おじさん達から、隠すように体を寄せてきた。



〔★バリケードが出来た★〕



< 488 / 534 >

この作品をシェア

pagetop