明日死ぬ僕と100年後の君

わたしが身構える前に、柳瀬くんは容赦なく矢を放った。


身体のど真ん中に、深々と突き刺さる真実。

その先端に塗られていた毒が、じわじわとわたしを侵していく。



「中2の時、有馬と有馬の両親と、3つ下の弟が乗った車が事故にあって、有馬だけが奇跡的に助かった。それから有馬は祖父さんとふたり暮らししてるんだよ」



さすがに言葉が出なかった。

有馬のことは苦手だけど、そんな事情を聞かされても「だからなに?」なんて言えるほど、冷たい人間じゃないつもりだ。


そしてさっき自分が言ったことを思い出し、正しく後悔し、自己嫌悪する。



『そんなに丁寧に作られてるお弁当、見たことないよ。家族に愛されてるんだろうなって、それ見ただけでわかるっていうか』



知らなかったとはいえ、有馬の傷をえぐるセリフでしかなかった。

ちょっとした嫌味みたいなつもりが、容赦なく彼を傷つける鋭い刃になっていたなんて。

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