明日死ぬ僕と100年後の君

別のテーブルでは有馬も久保さんも子どもたちに笑顔で勉強を教えていて、子どもたちも真剣に宿題に取り組んでいる。

すっかり打ち解けたのか子どもたちは気軽に質問し、有馬たちも落ち着いてでそれに応えている。

まるで教師になりきっているように。


特に久保さんはかなりはりきって見えるけど、有馬は自然体でいつも通りのあの笑みを浮かべている。

それを見ていると申し訳ない気持ちになった。

隼人くんも有馬が担当していれば、あんな風にまじめに勉強に向き合えただろうに。


ぼんやりと彼らの様子を眺めていると、有馬が「まさかこのまま放っておくわけないよね?」と目で圧力をかけてきたので、仕方なく紙で作った剣を振り回す少年に近づいた。



「ねぇ隼人くん。宿題やらないの?」


「やんない! チョーつまんねぇもん」



顔をしかめて舌を出し、いきった様子で「宿題なんてクソだぜ」なんて汚い言葉をつかう。

すると他の男子たちも笑って「クソだクソ!」と連呼し始めた。

< 109 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop