明日死ぬ僕と100年後の君

「ちゃんとわかってるし、忘れねーもん。なのに何で宿題なんかやんなきゃなんねーの?」


隼人くんは有馬側じゃなく、わたしの方に近かったらしい。

気持ちはわかるなあと、横でうんうん頷いた。


予習復習をやることがどれだけ勉学において重要で大変か、いまはそれなりにわかっているつもりだ。

けれど隼人くんくらいの頃に、その重要さを理解しろと言われてもムリだったと思う。


だって子どもだ。遊びたい盛りなのだ。

家に帰ったら宿題なんてせずに、すぐにでも外に飛び出していきたい。

それは子どもらしい子どもの姿で、問題なんてなにもないはず。



「だよね。わかってることを、わざわざもう1回やらなきゃいけない意味がわかんないよね」

「そうだよ。宿題なんて、やりたい奴だけやってればいいんだよ!」

「確かにねぇ。宿題やらなかったからって、死にはしないしね」



興奮気味に剣を振る少年に、苦笑しながら共感を示せば、嬉しそうに輝く笑顔を向けられる。


ああ、やっぱりいいな、子どもって。

先のことなんてなにも考えずに、純粋なままでいられて。

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