明日死ぬ僕と100年後の君
「サッカー選手になりたいって書いたら叶う?」
「うんうん。叶うかもね」
「じゃあ花嫁さんになってウェディングドレス着たいって書いたら?」
「わあ、素敵な夢だね! きっと叶うよ~」
ささやかな願いがどういうものかわかっていない子どもたちは、次々と多種多様な願い事を口にしていく。
ハンバーグが食べたいといった希望から、アニメの魔法少女になりたいなんていうロマン溢れる夢まで。
そんな子どもたちも「ゲームが欲しい」などサンタさんに願うようなものは誰も口にしなかった。
こういう環境で物をねだることはいけないと、ねだっても意味がないとわかっているのかもしれない。
それでも、顔を輝かせ短冊を作り始める子どもたちを眺め、いいなあと内心呟いた。
わたしには短冊に書く願い事がちっとも思いつかない。
あれがしたい、これがしたい、こうなりたい、と願うことをとっくに放棄してしまっていた。
唯一強く願うのは
「出来るだけ早く死にたい」
くらいだ。