明日死ぬ僕と100年後の君
これじゃあとても短冊には書けない。
織姫と彦星の年にたった1度しか出来ないデートに、こんな願いごとは水を差すようで悪いだろう。
願いというには後ろ向きだし、重すぎる。
わたしは書く必要もないし、子どもたちを手伝っていればいいか。
そう思って視線をめぐらせていると、ふとひとり俯いて固まる姿を見つけて首を傾げた。
隼人くんだ。
さっきまであれだけ元気いっぱいにはしゃいでいたのに、一体どうしたんだろう。
まるで借りてきた猫のようにおとなしくなっている。新聞紙の剣を振り回していた彼とは別人みたいだ。
「あれれ? どうしたの、隼人くん。進んでないね?」
ゆっくりと子どもたちを見て回っていた久保さんが、俯く隼人くんに気付きか彼の手元をのぞきこんだ。
前かがみになった久保さんの顔が、少年に近づく。
それでも隼人くんは微動だにしない。
ただひたすら、膝の上に手を置いて固まっている。