明日死ぬ僕と100年後の君

「あ、こら! 隼人くん!」


慌てて追いかけようと立ち上がる久保さん。

有馬はちらりとこちらに視線をやっただけで、やり取りは聞いていただろうにどうにかするつもりはないらしい。


苛立ちとやるせなさが、わたしの中で小さな爆発を起こした。

気付けば身体が動き、久保さんの進路をふさぐように立っていた。



「やめなよ」

「大崎先輩……?」

「書きたくないなら、書かなくていいじゃん。……強要するのはよくないと思う」


久保さんのような悩まずとも書ける人間じゃないわたしたちにとって、こんな作業は苦痛でしかない。


願い事なんて書いて、何の意味があるのか。

そんな風に考える人間がいることを、きっと彼女は知らない。

根本的にちがうから、わからないんだ。



「強要なんて、わたしそんなつもりじゃ……」


久保さんは戸惑いを顔いっぱいに浮かべ首を振る。

彼女に悪気はないだろうことは、わたしにもわかっていた。


でも悪気がないことは、誰かを傷つけていい理由にはきっとならない。

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