明日死ぬ僕と100年後の君
「自分の親の面倒もみないなんて、情けないこと出来るかい! 施設なんてあんなの牢屋みたいなもんだろ!」
「バカじゃないの!? いつまでも時代遅れなこと言ってないで、ちゃんとわたしがあげた資料読んでよ! それでもダメだって言うなら、もう介護のことでわたしに文句を言わないで! ただでさえ疲れてるのに、頭が痛くなる!」
あの建付けの悪い玄関の引き戸が、すごい勢いで閉められる音がした。
もしかして外れたんじゃないかと、心配になるような音のあと、訪れた静寂にようやく肩から力が抜ける。
やっと終わった親子喧嘩に、ほっとしてひいばあの耳を塞いでいた手を外した。
ひいばあは目覚めることなく、眠り続けている。
最近また、眠っている時間が長くなってきたようだった。
きっとひいばあも、起きていたくないんだろう。
だって起きてもろくなことがない。
おばあちゃんは怒鳴ってばかりだし、お母さんは冷めた目を向ける。
ふたりがこの部屋にいない時は、別の部屋でいがみ合っているのがほとんどだ。
わたしだったらずっと眠っていたいと思うだろう。