明日死ぬ僕と100年後の君
「まあ、あの子なら放りこめるのかもしれないね。あんたのお母さんは、小さい頃から自分のことしか考えない。だから大事なもんが見えてないんだよ。見る気がないとも言えるか。もうちょっと家族を想う姿勢ってやつを見せてくれてもいいと思うんだけどね」
「ごめん……」
「なんでいくるが謝るのさね」
苦笑するおばあちゃんに、首を振る。
わたしは後悔していた。
この家でいちばん真実が見えていたのは、たぶんおばあちゃんだったのだ。
お母さんは見えているつもりでいるだけで、わたしにいたっては目をそらしていた。
「わたし、もっとちゃんと手伝うよ。ひいばあには施設より、この家にいてほしいし……」
新しいオムツを履かせ、服を着せる。
人の身体は重い。こんな痩せっぽちのひいばあでも、やっぱり重い。
それでもわたしたちがやらなければ、ひいばあは自分では何もできない。
赤ん坊と同じくらい、できないのだ。
「別にムリするこたあないよ。そんなことより勉強しなって、あの子に言われんじゃないのかい」
「かもね。でも勉強なんてしたって別に、何かになりたいわけでもないし」