明日死ぬ僕と100年後の君
「この先何か見つかるかもしれないだろ。これってものがさ。あんたはばーちゃんと違って、先が長いんだから」
さも自分は老い先が短いと言っている風だけど、それはどうだろう。
おばあちゃんだって、あと少なくとも30年は生きる。そういう家系だから。
30年はたぶん、長い。
「おばあちゃんこそ、わたしがろくに手伝わないっていつも文句言うじゃん」
「ばかだね。あれはそういう意味じゃないよ。ばーちゃんはただ、家族を大切にする人間になってほしいだけさ。あんたにも、あんたのお母さんにも。特にあの子にはね、もうちょっと家族を顧みてほしいもんだ。あんたの為に」
「……そっか」
とってつけたような理由だとは思わなかった。
おばあちゃんが落ち着いた調子で話すことは珍しい。
だからきっと、これはおばあちゃんの本心なんだろう。
我が祖母ながら、不器用すぎる。
もしかしたら誰より家族を想っているのかもしれないのに、それが肝心の家族にちっとも伝わっていない。