明日死ぬ僕と100年後の君
おばあちゃんとお母さんの関係も、こうやって話が出来たら変わるかもしれない。
お互いが主張を押し付け合うんじゃなく、落ち着いて気持ちを伝えあえば、きっと。
「そうだよ。あんただっていずれ、自分の家庭を持つんだから。そうなったらばーちゃんたちより、自分の家族を大事にするんだよ」
「わたしは……結婚はしないよ」
きっと死ぬ時もひとりきりだ。
結婚して、子どもを、家庭を持つ勇気なんて持てない。
なぜか有馬の顔が浮かんだ。
有馬はどうだろう。
久保さんのような子と、将来家庭を持つのだろうか。
名前も知らない他人の命を、奪い続けながら。
「どうして。まあいまは一生独り身って道を選ぶやつも多いって聞くけどね。でもそれじゃあ寂しいだろう」
ひいばあにタオルケットをしっかりかけ、洗面器を持ち立ち上がる祖母。
しゃんとした後ろ姿は、年齢より10以上若く見えた。
時間に置いていかれているようなその姿に、未来の自分を重ねる。
「じゃあ……結婚した人に先立たれるのは、寂しくないの?」