明日死ぬ僕と100年後の君
✽
朝陽の差しこむ生徒玄関。
「おはよう」が下駄箱のあちこちで交わされている。
その様子は、早朝うちの庭の物干しざおの上でさえずり合う、スズメたちに似ていた。
そんな場所でばったりと、有馬と鉢合わせた。
目が合い、お互い無言で立ち止まる。
先に「おはよう」と口にしたのは有馬だった。
わたしも少し視線を下にずらして「おはよう」と返す。
そしてまた、沈黙。
スズメにはなりきれなかった。
小さくはない気まずさを感じながら、靴を履き替えようとした時。
「おはようございます!」と元気な声をかけられた。
これはスズメというより、ニワトリに近い。
有馬と同時に振り向くと、明るい外の景色を背に久保さんが立っていた。
ひまわりみたいな、元気いっぱいな笑顔だ。
「おはよう、久保さん」
「……おはよう」
有馬はいつも通り柔らかく返す。
わたしの返しは、少しぎこちなかったかもしれない。
「昨日は先に帰っちゃってすみませんでした」
「いいんだよ。弟さんのお迎えは間に合った?」
朝陽の差しこむ生徒玄関。
「おはよう」が下駄箱のあちこちで交わされている。
その様子は、早朝うちの庭の物干しざおの上でさえずり合う、スズメたちに似ていた。
そんな場所でばったりと、有馬と鉢合わせた。
目が合い、お互い無言で立ち止まる。
先に「おはよう」と口にしたのは有馬だった。
わたしも少し視線を下にずらして「おはよう」と返す。
そしてまた、沈黙。
スズメにはなりきれなかった。
小さくはない気まずさを感じながら、靴を履き替えようとした時。
「おはようございます!」と元気な声をかけられた。
これはスズメというより、ニワトリに近い。
有馬と同時に振り向くと、明るい外の景色を背に久保さんが立っていた。
ひまわりみたいな、元気いっぱいな笑顔だ。
「おはよう、久保さん」
「……おはよう」
有馬はいつも通り柔らかく返す。
わたしの返しは、少しぎこちなかったかもしれない。
「昨日は先に帰っちゃってすみませんでした」
「いいんだよ。弟さんのお迎えは間に合った?」