明日死ぬ僕と100年後の君



朝陽の差しこむ生徒玄関。

「おはよう」が下駄箱のあちこちで交わされている。

その様子は、早朝うちの庭の物干しざおの上でさえずり合う、スズメたちに似ていた。


そんな場所でばったりと、有馬と鉢合わせた。

目が合い、お互い無言で立ち止まる。

先に「おはよう」と口にしたのは有馬だった。

わたしも少し視線を下にずらして「おはよう」と返す。


そしてまた、沈黙。

スズメにはなりきれなかった。


小さくはない気まずさを感じながら、靴を履き替えようとした時。

「おはようございます!」と元気な声をかけられた。

これはスズメというより、ニワトリに近い。


有馬と同時に振り向くと、明るい外の景色を背に久保さんが立っていた。

ひまわりみたいな、元気いっぱいな笑顔だ。



「おはよう、久保さん」

「……おはよう」


有馬はいつも通り柔らかく返す。

わたしの返しは、少しぎこちなかったかもしれない。


「昨日は先に帰っちゃってすみませんでした」

「いいんだよ。弟さんのお迎えは間に合った?」

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