明日死ぬ僕と100年後の君
「はい! あ、それで……今日って、買い出しの日でしたよね?」
「そうだよ。どうかした?」
言いにくそうに、両手をもじもじと合わせる久保さん。
その仕草に、横で有馬の目が優しく細められるのがわかった。
「実は弟が熱を出して。早く帰って母と看病を交代しなくちゃいけないんです。それで買い出しなんですけど……」
久保さんが言い終わる前に、有馬の手が彼女の頭に置かれた。
彼女のトレードマークである大きなおだんご。
それを避けるように、そっと撫でる白い手。
久保さんの目が恥ずかしそうに揺れたあと、細められた。
微かな、けれど喜びを表現するのに充分な動きだった。
「そういうことなら、いいよいいよ。こっちは気にせず、早く帰ってあげて」
「部長……でも」
「買い出しは僕と大崎さんで行ってくるから。ね、大崎さん?」
不意に有馬の顔がこちらに向けられて、どきりとした。
少し焦り気味に首を縦に振る。
「あ、うん。大丈夫だから、気にしないで。弟さん、はやく良くなるといいね」
「ありがとうございます……! お言葉に甘えて、今日は部活休ませていただきます!」