明日死ぬ僕と100年後の君
感動したように言う久保さんに、大げさだなあとこっそり呆れる。
けれど大げさでも、嘘はない。
こういう彼女の素直なところが羨ましいと思う。
可愛いから。女のわたしから見ても、久保さんは可愛くて、魅力的だ。
そのまま頭を下げて1年生の下駄箱に向かいかけた彼女。
言い忘れていたことを思い出し、呼び止めた。
「待って、久保さん。あの……」
久保さんが、丸い瞳でわたしを見つめる。
いつも通りに見えるけれど、小さな手をぎゅっと握りこむのがわかり、再確認した。
警戒されている。
「ええと……ごめん」
「え……?」
「わたし、久保さんのことが嫌いとか、そういうんじゃないから」
丸い瞳が見開かれる。
横から有馬の視線も感じ、そっと目を伏せた。
「その……たぶん、わたしの言い方が悪かったんだろうなって。久保さん、わたしのこと怖がってるみたいだし」
「あ、いえ。そんなことは……」
「いいの。わたしの自業自得だから。でも、本当にあなたがどうっていうんじゃなくて。わたしは……ボランティアってもの自体が、嫌いだったの。結局偽善じゃんって、バカにしてた」