明日死ぬ僕と100年後の君
久保さんを特別目の敵にしていたわけじゃない。
どちらかというと、有馬の方が気にくわないと思っていたのだ。
「でも……わたしがやっているのも、自分の為だって昨日……」
「うん。話してくれたよね。それで、昨日で考えがちょっと変わったっていうか。偽善でも、それが必要なこともあるのかもしれないなって。自分の為でも、自己満でも、それを必要としている人たちがいるかもしれないんだって気づいたんだよね」
もし、昨日の施設にひいばあが入っていたとしたら。
そして職員に毎日、人として扱われていなかったとしたら。
たまに来る、ボランティアの学生の存在をありがたく思う。
それが善でも偽善でも、ひいばあに話しかけてくれる人に、わたしはきっと感謝する。
有馬たちがしているのは、そういうことだ。
押し付けになることもあるかもしれない。
でも、必要とされているからボランティアがある。
そういうものを、まったく関係のない場所にいるわたしが、「偽善だ」と断罪するように責めるのはお門違いだ。