明日死ぬ僕と100年後の君
「あっ。いまのわたし、ちょっと生意気でしたね。すみません!」
「いや、そんなことないけど……」
なぜだか、落ち着かない気分になっていた。
そわそわして、意味もなく軽くジャンプしたくなるような、おかしな気持ちだ。
「じゃあ、お先に失礼します! 買い出し、申し訳ありませんがよろしくお願いします!」
「久保さん。明日以降も弟さんの看病があったら、休んでいいからね」
「はい、部長! ありがとうございます!」
90度に腰を折り、満面の笑顔で締めると久保さんは今度こそ1年生の下駄箱の方へ消えていった。
それを見送るわたしも、つられて笑顔になってしまっていた。
「ほんと、元気な子だよね」
「すごくね」
くすりと笑い、有馬が下駄箱から上靴を取り出す。
なんだか自慢げな響きがあり、それに胸がちくちくと痛んだ。
有馬と久保さんの間には、特別な信頼関係や、家族のそれにもにた距離の近さがある。
当たり前だけど、わたしとの間にはないものだ。
「……有馬はあの子が、好きなんだね」