明日死ぬ僕と100年後の君
「え? 大崎さん、何か言った?」
「ううん。別に。変わってるなって。わたしがボランティアに向いてる、なんて。笑っちゃうよね」
有馬とは反対側の下駄箱で、靴を脱ぐ。
先にいたクラスメイトに声をかけられ、軽く笑顔も作り返す。
そういえば、数学のプリントの提出が今日だったっけ。
まずいな、1問も解いてない。誰かに写させてもらわないと。
誰がいいかな。頭が良すぎる人はだめだ。
わたしと同じくらいの学力の子じゃないと、写したのがバレる。
「僕も大崎さんは向いてると思うけど?」
「……え?」
くだらないことを考えていたわたしの耳に、意外な言葉が飛び込んできた気がして反射的に振り返った。
言われた意味を、すぐには理解できず固まる。
「出来れば続けてくれないかなって思ってた。考えておいてよ」
微笑みを浮かべる有馬。
気のせいかもしれないけれど、その顔にはほんの少し、小指の爪程度の照れが混じっているように見えた。