明日死ぬ僕と100年後の君

有馬と別れ、自分の教室へと向かう廊下でわたしは、顔がにやけるのを抑えることができずにいた。

どうしよう。

自分でもちょっと驚くほど、嬉しい。

感動にも似たなにかがこみ上げてくる。


はじめて有馬に肯定されたような気がする。

最初から否定され、わたしも反発するように否定してここまで来ていたから。


足取り軽く教室まで向かうと、美咲たちの話す声が廊下にまで響いて聞こえてきた。

そうだ、課題を写させてもらわないと。

やっぱり頼むのは美咲かなと思いながら入り口に手をかけた時「いくるはどうする?」と自分の名前が出てきたのでつい足を止めてしまった。



「いくるはほら、放課後ボランティアだから」

「あーそっか。いくるって誘ってもあんまノッてこないしね」

「確かに。どうせボランティアなくても意味ないよ。勉強も遊びも、とにかくやる気ないしー」


いつも言われていることなのに、なぜだかいまは友人たちの言葉が胸に刺さった。

ドアにかけた手が震えている。


「やる気ないっていうか……興味ないのかもって、最近思う」


美咲が少し寂しそうな声で言うのでどきりとした。


興味がない。

興味を持たないようにしていたことが、伝わっていたのかと驚いた。

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