明日死ぬ僕と100年後の君


学校近くのホームセンターを出ると、むわっとした熱気に包まれた。

お店の中はいき過ぎなくらい冷房が効いていたせいか、その温度差にくらりとくる。


日差しが強いわけじゃない。

灰色の厚い雲は厳重に空を覆っている。

けれど湿気がひどく、その分暑く感じた。


ちらりと横目で有馬をうかがう。

相変わらず涼しい顔で、暑さなんて微塵も感じていないように映った。

寿命が1日しかないと、暑さも感じないのだろうか。

だとしたら、寒さもか。

痛みにまで鈍かったらどうしよう、と妙に心配になってくる。


そんなわたしの心配をよそに、有馬は「そっち重くない? 持とうか?」となにやら男らしいことを言って手を伸ばしてくる。

しかしその腕はわたしとそれほど変わらないくらい細いので、丁重に遠慮させてもらった。


掃除用品や事務用品の入ったビニール袋を、それぞれ1つずつ持って歩き出す。

ふたり並んで。けれど微妙に、距離を置いて。


ここにいるのがわたしじゃなくて、久保さんだったら。

きっとこんな風に距離は置かず、肩がつきそうな距離で歩くんだろう。

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