明日死ぬ僕と100年後の君
「……なんのこと?」
「昨日あんな風に別れたから。また君を傷つけたかなって、あのあと少し後悔したんだ」
俺こそごめん、と。有馬は謝ってくれた。
無神経なわたしなんかを気づかって。
「別に、有馬に気をつかったとかじゃないよ。ボランティアが救いになる人も確かにいるって、本当にそう思ったの」
「どうして急に、そう思ったか聞いても?」
「急ってわけじゃ、ないんだけど。うち、高齢のひいばあちゃんがいるって話したじゃん。もう認知症がけっこう進んでてね。でも誰にでも優しくてかわいいの。わたし、ひいばあ大好きなんだ。なのにお母さんは、ひいばあを施設に入れようってずっと言ってる。おばあちゃんがひいばあの介護で、いつもイライラピリピリしてるから。ひいばあが施設に入れば、家の中がもう少し色々マシになると思ってるみたい」
家庭の中の問題を外に放り出して、なかったことにしようとしているようにしか見えなかった。
実際はなかったことになんてならないのに。
施設に入ってもひいばあは生きている。
わたしたちは家族だ。ただ、距離ができるだけなのだ。