明日死ぬ僕と100年後の君

確かに楽になることはたくさんあるだろう。

けれどそれですべてが解決し、家族が仲良く暮らせるようになるとはとても思えない。

ひいばあを施設に入れても、お母さんは仕事を理由にひいばあに会いに行ったりはしないだろうし、そんなお母さんをおばあちゃんはまた責めるだろう。


何が変わるというのか。

ただオンボロな我が家から、かわいいひいばあと介護ベッドが消えるだけだ。


それなら、わたしたち家族皆が幸せになる為に必要なものは何だろう。

答えは胸が悪くなるようなものひとつしか、浮かんでこない。



「おばあちゃんは、ひいばあの実の娘なんだけどさ。毎日ひどいことばっかり言ってるの。暴力はふるってないけど、言葉でたくさん傷つけてる。ひいばあは何も言わないし、傷ついているのか確かめることはできないけど。でもきっと、傷ついてる。調子のいい時は会話も成り立つし、声は聴こえてるんだから……」

「そう……。介護の負担は大きいからね。施設に入ってもらって、介護の必要がなくなれば落ち着くっていうお母さんの考えは、間違ってはいないんじゃないかな」

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