明日死ぬ僕と100年後の君

気づかわし気な色が混ざった有馬の言葉に、素直にうなずく。


「うん。わたしもそう思ってた」


昨日までは。

施設の現状をこの目で見て、あの冷たさを肌で感じるまでは。



「うちのおばあちゃん、前はお花をやっててね。師範で、そんなに数は多くないけど生徒さんがいて。いつもかっこよく着物を着て出かけてた。華道もだけど、人に教えたり、働くことが好きだったというか。似合ってたんだよね。家に閉じこもっているより、外に出てる方が。お母さんもそうだから、そういうところは母子だなって思う。……でも、ひいばあが一度倒れて介護が必要になった時、すっぱり辞めちゃったの。実の親の面倒を他人に任せるわけにはいかないって」

「なんだか、頑固そうなおばあさんだね」

「もうめちゃくちゃ頑固だよ。お華はは続けた方がいいってお母さんは反対したんだけど、聞く耳持たずって感じでさ。でもそうして介護を始めてそう経たないうちに、おばあちゃんはひいばあにもわたしたち家族にもよく当たるようになった。お母さんはやっぱりこうなったって、ため息ついてたなあ」

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