明日死ぬ僕と100年後の君

実際、介護は本当に大変そうだった。

わたしは手伝っても怒られるだけで、すぐに離れてしまったけれど。

だからイライラするのも仕方ないと、最初は思っていた。


でもそれなら、お母さんの意見も少しは汲んで、ヘルパーさんにお願いすれば良かったのだ。

お母さんとおばあちゃんがお互い譲らず、傷つけるような言葉ばかりをぶつけ合うから、どんどん意固地になって色々なことがよくない方向へと転がっていった。



「うちの家族、すっごく仲悪いんだ。毎日ギスギスしてる。きっとおばあちゃんが介護される側になったら、今度はお母さんがおばあちゃんに怒鳴るようになるんだよ。わたしも年をとったら、あんな風に厄介者扱いされるのか。家にも居場所なんてなくなるのか。そう考えると、気が重くなるっていうか……。段々生きているのがつらくなって。夢とか希望とか、そんなの考える気にもならなくなった」


おばあちゃんの気持ちはわかる。


介護を他人に頼むのは申し訳ない。

自分が親の面倒を見ない冷たい人間だと思いたくも、思われたくもない。

自分は親を、家族を大切にする人間なんだって、言い聞かせている。

考え方の古い人だから、余計にだ。

< 217 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop