明日死ぬ僕と100年後の君


職員室で、有馬たちの担任の先生に事情を説明したわたしは、その足で保健室へと向かった。

静かな廊下をあわただしく駆け抜け、到着すると中で柳瀬くんと久保さんが待っていた。

久保さんは途中で有馬たちに遭遇し、ついて来たらしい。


カーテンで仕切られたベッドをちらちらと見ては、ため息をついている。



「食中毒とかですかね? 夏場は危ないって言いますし」

「どうだろうな。熱はないみたいだけど」

「心配ですね……」


しゅんと肩を落とす久保さんを励ますように、柳瀬くんは後輩の背中を強く叩いた。


「まあ、今日のミーティングは中止にしよう。ボランティアの予定が入ってなくて良かった。明日以降は有馬の体調次第ってことで」


そう言うと、わたしたちの背を押し、三人まとめて廊下に出る。

有馬を休ませてやろうということだろう。

わたしも久保さんも、異論はなかった。


次は移動教室だという久保さんがバタバタと廊下をかけていく。

そういえば、彼女の弟さんの具合は大丈夫なんだろうか。

聞くのをすっかり忘れてしまった。

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