明日死ぬ僕と100年後の君
「大崎さん。ちょっといいか?」
失敗したなあと思っていると、神妙な顔をした柳瀬くんに呼び止められた。
教室へ戻ろうとしていた足を、彼の方に向ける。
「どうしたの、柳瀬くん」
柳瀬くんは一瞬苦し気な顔をすると、ためらいがちに口を開いた。
「今日みたいなこと、実は中学の時も何回かあったんだ」
「え。今日見たいなって、有馬?」
「うん。いきなり吐くんだけど、熱はない。感染症でもなくて、ただ、突然吐くんだ」
何の前触れもなく。
学校の廊下でだったり、帰り道だったり。
時と場所は様々だったと柳瀬くんは言った。
「それって……事故のあとのこと?」
「ああ……そうだな。そうだったと思う。事故のあと、しばらくそんなことが続いた。だから精神的なものだろうって話だった。実際、いつからか吐かなくなったし。でも、どうしてまた吐いたんだろう。精神的にくることがあったのか?」