明日死ぬ僕と100年後の君

家族が死んだのと、同じくらいつらい出来事が? と、柳瀬くんはいぶかしがる。


彼が本意で有馬を心配しているのはわかる。

けれど、とても言えない。

有馬が命を食べた相手が、目の前で事故に遭ったなんて。


言えるはずがない。

信じる信じない以前に、有馬の気持ちを考えると、とてもじゃないけど言う気にはなれなかった。



「なんか、嫌な予感がする。俺も見とくけど、大崎さんもできたら有馬のこと気にして見ててくんないかな」

「うん。そのつもり……」


素直に答えると、柳瀬くんにあからさまにほっとした顔をされて、なんとも言えない気分になった。


事態はたぶん、柳瀬くんが想像するよりも深刻だ。

わたしに出来ることなんて、実は何もない。

ただ、心配することしか出来ないのだ。


だからせめて心配だけは、柳瀬くん以上にしていようと思う。

< 255 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop