明日死ぬ僕と100年後の君
家族が死んだのと、同じくらいつらい出来事が? と、柳瀬くんはいぶかしがる。
彼が本意で有馬を心配しているのはわかる。
けれど、とても言えない。
有馬が命を食べた相手が、目の前で事故に遭ったなんて。
言えるはずがない。
信じる信じない以前に、有馬の気持ちを考えると、とてもじゃないけど言う気にはなれなかった。
「なんか、嫌な予感がする。俺も見とくけど、大崎さんもできたら有馬のこと気にして見ててくんないかな」
「うん。そのつもり……」
素直に答えると、柳瀬くんにあからさまにほっとした顔をされて、なんとも言えない気分になった。
事態はたぶん、柳瀬くんが想像するよりも深刻だ。
わたしに出来ることなんて、実は何もない。
ただ、心配することしか出来ないのだ。
だからせめて心配だけは、柳瀬くん以上にしていようと思う。