明日死ぬ僕と100年後の君

この人に似たのかねぇ。

ひいばあの手をさすりながら、まるで感謝するように呟くおばあちゃん。


毎日毎日イライラして、人に当たってばかりで、自分のことしか考えていない。

おばあちゃんのことを、そういう人だと思っていた。

でもそうじゃなかった。


般若みたいな顔の下で、おばあちゃんはいつだって家族のことを考えていたのか。



「さっきは後悔してるって言ったけどね。でももう一度やり直せるとしても、やっぱりあたしはお花をやめて、この人を介護する道を選ぶ。きっとね。ばーちゃんは自分勝手だからね。好きに生きてこれなんだよ」

「ひいばあのために生きるのが、自分勝手になるの? そんなの変だよ……」

「誰かのためって道を選ぶのも、そいつの勝手ってことさ。要は自己満足だ。証拠に自分の母親が幸せだったのかどうか、あたしにはわからない。介護は想像より過酷だったし、あたしの選択は間違いだったかもしれない。でも……ばーちゃんは幸せだったよ」


ぽつりと落とされたおばあちゃんの呟き。

それは後悔や怒り、悲しみなど、複雑な色をすべてはぎ取ったように、限りなく透き通って聞こえた。

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