明日死ぬ僕と100年後の君
「ねぇ、有馬。わたしどうしても、有馬に生きていてほしいの。有馬がつらい思いをしていても、苦しんでいたとしても、どうしても。生きていてほしいんだよっ」
きっと、星の終わりがあるとしたらこんな風だ。
有馬の琥珀色の瞳が輝きを失っていく。
きらめきが萎み、夜の闇に消えようとしている。
わたしを置いて、終わろうとしている。
寂しく幕を下ろそうとしている。
いやだ。いやだいやだいやだ。
「お願いだから、死なないで!」
そう叫んだ瞬間、音が消えた。
集まってきた野次馬の騒ぐ声や、わたしたちが車道にいることで、詰まってしまった車のクラクション。
スマホのカメラの撮影音や、遠くに聴こえていた救急車のサイレンも。
すべてが世界から消えて。
代わりに、猫の鳴き声がした。
「あーあ。見ちゃいらんねぇなあ」