明日死ぬ僕と100年後の君
気軽に電話をするような間柄というわけじゃない。
手紙の合間に突然、いなくなってしまったお母さんが、迎えに来ることがあるかもしれない。
もしくは親戚に引き取られたりという可能性もある。
その時わたしに施設から連絡があるとは思えない。
わたしと彼は、赤の他人だから。
それは少し寂しいけれど、彼が施設にいてもいなくても、笑顔であってくれればいいなと思う。
隼人くんはまだ子どもで、これからの時間はとても長い。
たくさんの人に出会い、いくらでも楽しいこと、幸せなことを経験できるはずだ。
短冊に願い事だって、簡単に書けるようになる日が来るかもしれない。
前に会った時はそんな風には考えられずにいたけれど、次また会えたら、その時彼が笑顔でなかったとしたら、教えてあげたい。
こんなわたしにだって、夢というものが持てたのだから。
不意におかしくなり、こっそりと笑ったつもりだったけれど、久保さんに見られて「どうして笑うんです?」と不思議そうな顔をされた。
「何でもないよ」
「えー。うそうそ。絶対なんかありましたよね? いいことですか?」