明日死ぬ僕と100年後の君
黙って見つめていると、薄茶の瞳とぶつかり首を傾げられる。
「そうだ、部長! なんだか大崎先輩、さっきから怪しいんですよ! 思い出し笑いなんかしちゃって。絶対いいことあったんだと思うんですよね」
まだ言っている久保さんに、少しあきれた。
どうも彼女は、わたしとそういう話がしたいようなのだ。
そういうというのは、あれだ。
女の子が好きな鉄板ネタ。
いわゆるコイバナというもの。
正直わたしはこの手の話が苦手だ。
恋愛初心者だし、いままで完全に避けて通ってきた類のことなので、何をどう話せばいいのかわからない。
おまけに久保さんは同じ部の後輩という身内でもある。
非常に話しにくい関係者だ。
「へえ? そうなの、大崎さん」
有馬に意外そうな目を向けられ、ますます困った。
「ちがうって。たいしたことじゃないのに、久保さんがおかしなこと言ってるだけで」
「おかしなことって? たとえば、
僕が君に告白したこととか?」
ありまの返しに、思考が停止する。
一瞬何を言われたのかわからなかった。