明日死ぬ僕と100年後の君
あの歩道橋からの落下のケガで、有馬は3ヶ月ほど入院生活を送った。
一時は集中治療室で生死の境を彷徨った彼も、いまではこうして元気に、普通の生活を取り戻している。
退院後はしばらくリハビリを続けたけれど、幸い後遺症もなく、ボランティア活動にも復帰できた。
病院で目覚めた時、すでに事故から5日が経過していた。
その間もちろん、有馬は他人の命を食べることが出来なかった。
それなのに、生きている。
その事実をなかなか信じられず、有馬はしばらく混乱している様子だった。
しかも有馬から、あの残酷な力が消えていたのだ。
人から1日分の命を奪う力が。
誰かに親切にしても、あの光る玉は有馬には出せなくなった。
つまり、もう食べられない。
けれど有馬は生きた。
そして1日しか持たないはずの有馬の命は、今日も続いている。
理由ははっきりとはわからない。
けれどお互い、きっとこういうことなのだろうという、確信に近い答えは持ち合わせていた。