明日死ぬ僕と100年後の君

◇親切の押し売り





「ボランティア部の聖人? 知ってる知ってる。っていうか、あたし助けてもらったことあるよー。
前に自転車の鍵落としちゃってさ。必死に探してたら聖人が声かけてくれて、探すの手伝ってくれたの! 超いい人!」


「聖人がどんな奴かって? そりゃ聖人って呼ばれるくらいだもん。優しくて思いやりに溢れた奴に決まってんじゃん。
この間、駅の階段で腰曲がったばーちゃん助けてんの見たもん、俺。いつの時代だよっていう風呂敷のでかい荷物運んでやってた。ああいうのって声かけんのも勇気いんじゃん? 聖人はそういうのもさらっとできんだな。すげーよほんと」


「聖人はまじ聖人だって! 部活の先輩に聞いたんだけど、前にちょっとワルい系の先輩が人違いで聖人のこと殴っちゃったんだって。なんか彼女に言い寄ってきてたのがいて、聖人と似てたとかで。
その先輩が間違いに気づいて、お詫びに何か奢らせてくれって言ったけど、聖人がとんでもないって断って、逆に殴った先輩の手を心配したらしいよ。歯が当たって血が出てたみたいで、絆創膏まで渡したって。怒るってことがないんだよきっと!」

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