明日死ぬ僕と100年後の君
なんだかがっかりして、前を向いた。
「置いてくぞー」と友だちが少し先から声をかけてきたので「いまいくー」と返しまたのんびり歩き出す。
「走れよ!」とツッコミが入ったので、仕方なく歩調を早めた。
ボランティアなんて偽善なんじゃないのかな。
見返りを求めない人間なんて、本当にいるのかな。
みんな自分がいちばん大事で、自分を守るのに精いっぱいで、他人なんか二の次で。
みんなそれぞれ、自分勝手に生きている。
社会っていうのはそういう、自分勝手な生き物の集合体なんだと思っていた。
バカみたいだよなあって。みんな、バカみたい。
なんの為に生きているのかもわかっていないのに、どうして必死になれるんだろう。
どれだけ必死に自分勝手に生きても、みんなどうせ同じように年を取って、結局死ぬだけなのに。
それがどれだけ虚しいことか、わたしはよく知っている。
ボランティア部の聖人は、困ったような笑顔のままゆっくりと光の階段を上っていく。
色素の薄い髪は揺れてキラキラと輝き、その背中には……
やっぱり、羽が生えているように見えた。