明日死ぬ僕と100年後の君

居心地悪そうにしていた久保さんが、澱みはじめていた空気を打ち消すように、パンと強く手を叩いた。



「あ! じゃあわたし、先に学校戻って大崎先輩の荷物とってきますね!」

「え……? いや、そんないいよ」

「でもその格好だと入りにくくないですか? あっ。いえ、わたしはそのライオンTシャツめっちゃおしゃれだと思うんですけど! でもライオンとヒョウを組み合わせるのはさすがに上級者すぎるかなって。けど、どっちも単体では使えるアイテムな気はしないでもないですよね!」

「いや、うん。わかった。荷物お願いします……」



必死な様子でフォローをされて、さすがに居たたまれなくなり頼んでしまった。

久保さんはほっとした顔をして「ではあとで!」と元気よく来た道を走って戻っていく。


小さな背中がもっと小さくなっていくのを見送りながら、嫌になるくらい良い子だなと思った。

明るく元気で一生懸命で、気遣いができる心根の優しい子。

わたしとは正反対だ。

きっと有馬も、久保さんみたいな子が好きなんだろう。

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