明日死ぬ僕と100年後の君
しっかり見えた。ぼんやりと光るものが。
そう続けようとして、ビクリと身体が震え、硬直した。
有馬があの目をしていたから。
あの、仄暗いなにかを宿した、どこまでも深くて暗い目を。
「人の命」
薄くて色のない唇が、ぽろりと言葉を零すように呟いた。
「……え?」
命?
命って、なんだっけ。
命ってあんな、ぼんやりと光る玉のような形をしているんだっけ。
そもそも胸から出てきたり、目に見えたり、宙に浮かんだりできるものだったかな。
たぶんいま、わたしはひどく混乱している。
頭が考えることを、理解することを拒否しているみたいに動かない。
あれは、おじさんの命だった?
それならそれを食べた有馬は……。
もしかして、とても恐ろしいことを彼は言ったんじゃないだろうか。