明日死ぬ僕と100年後の君
ただただ、気に留められていなかったんだ。
きっとわたしは、普通の子どもが親に与えられる愛情の、半分ももらえていないんだろうと薄々感じていた。
もう諦めてるけど、どうしてそうなったんだろうなとは思う。
何がいけなかったんだろう。どこからいけなかったんだろう。
わたしが何かしていれば、友だちのお家みたいにありふれた幸せな家族になれたんだろうか。
そこまで考えて結局、それはないなといつも同じ答えに行き着く。
わたしが、わたしたち家族がこわいくらい長生きである限り、きっと普通にはなれないんだろう。
そうやって淡い期待や後悔みたいなものを、何度打ち消してきただろうか。
あの時からずっと、わたしはたくさんのことを諦め続けている。
「あー、それわたしも思ってました! 部長のお弁当ってプロが作ったみたいにきれいですもんねぇ。実はこっそり羨ましく思ってたんですよ」
久保さんが目をキラキラさせて同意する。
贅沢だなあと思いながらも「久保さんのお弁当もすごいじゃん」と言えば、彼女は恥ずかしそうにお弁当を手元に寄せた。