透明な恋《短》




一つ一つ丁寧に、分かりやすく教えてもらえて。夜木君の頭のよさに感服した。



とりあえず今習ってる辺りまで教えてもらい勉強は終了となった。



『本当にありがとうございます』



「いえいえ、どういたしまして」



深々と頭を下げると、フッと噴出すような笑い声が聞こえた。



「俺、伊達さんと話してみたかったから、口実が出来てラッキーみたいな」



『え??』



美男に「君と話がしたかった」なんて言われてドキドキしない人の方が少ない。例外なくドキッとしました、ハハハ。



「皆さ、伊達さんのこと《透明人間》だって言うでしょ。なんでだろーって」



『……私影が薄いんですよ。みんな私に気づかないからって付けられたあだ名です』



ハハハッと力なく笑う。まぁ、不便はないしいいけどね。先生も居眠りしてても怒らないし。



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