透明な恋《短》
ユラリと近づいてきた夜木君は、私の腕をグイッと引っ張った。
『うわっ!!』
バランスを崩した私は、そのまま夜木君の腕の中へと倒れこんだ。優しい柔軟材の匂いに、安心感を覚え、じゃない!!!!
何々!?どういうこと!?なにこの少女漫画的な展開!?!?あるの、普通あるのこんな展開!?!?
パニックになりながら二人をハラハラと見守る。
「不要に近づくな」
「お前、コイツの彼氏かよ」
ハッと笑う黒田君に、夜木君の眉間の皺が明らかに濃くなった。
「お前に関係ないだろ」
「そうじゃねーってことか……まぁ、警戒心の強い騎士も来た事だし、また遊ぼうぜ透明ちゃん」
フッと笑うと黒田君は何事もなかったかのように、去って行った。透明ちゃんって……。